産業用&家庭用無線LANの違いを解説!
一般的に無線LANといっても、大きく2種類あり、「産業用無線LAN」と「家庭用無線LAN」があります。家庭用無線LANは、比較的利用されている方も多くなじみがあり、家庭用を企業でも導入することを検討している方もいます。ルーターの外観も大きさなど、それほど変わりないため、どちらも同じような機能であると判断してしまうことは誤りです。では具体的に産業用と家庭用無線LANでどのような違いがあり、正しく選ぶにはどうするべきか、解説していきます。
産業用無線LANと家庭用無線LANの違いとは
産業用無線LANと家庭用無線LANの違いとして、具体的には、下記5点があげられます。
ネットワークに接続することが可能なデバイスの数
導入する機器
設置、設定方法や環境
安全性のセキュリティ
導入コスト
これら5つの違いが企業においての使用可否について、重要なポイントですので、一つずつ解説していきます。
接続できるデバイス数
基本的に無線LANのシステムとして、接続できる可能なデバイスの数というのが決まっており、デバイスが超過すると通信速度が遅れたり、停止してしまうこともあります。一般的に家庭用無線LANの推奨接続デバイス数は、15台程とされているのに対して、産業用無線LANの推奨接続デバイスは40台ほどです。そのため企業でも数人程度が使用するオフィスなどでは、家庭用無線LANでも有効に使用できますが、家庭用ではカバーしきれない人数が使用する場合は、産業用無線LANを導入することをおすすめします。
導入する機器
家庭用の無線LANを自宅に導入する場合、デバイスの数が少なくて良いので、無線LANアクセスポイント(中継器)とWi-Fiルーター、両方の機能をもつ機器を導入します。一方で産業用無線LANを導入する場合では、広い範囲に電波を飛ばす必要があるため、接続デバイスの数が多く必要になります。産業用無線LANは、家庭用とは異なり、1台のWi-Fiルーターに対して、複数のアクセスポイントで対応するため、アクセスポイントとWi-Fiルーターを別々の機器で導入することが多くあります。
設定や設置方法
家庭用無線LANの設置は、基本的に室内で本体とデバイスを接続するだけで、ネットが使用できますが、産業用無線LANの設置方法は、細かく環境に適した設置をする必要があります。例えば、発電所やダムなどのインフラ、鉄道や港の屋外に通信環境を設置した場合、極端な気温の変化などの過酷な環境に置かれることもありますので、設置場所に適した装置が求められます。また、企業で設定し使用する場合は、機密情報漏れ防止の対策をしっかり施す必要があるので、より複雑な設定が必要です。
セキュリティレベル
無線LANは適切なセキュリティ対策を施さなければ、コンピューターウイルスの感染や第三者が無断で機器にアクセスし、データの改ざんやハッキングなど悪用されてしまうケースもあります。無線LANアクセスポイントなどの装置には、このように悪用されてしまうリスクを未然に防ぐためのセキュリティ機能が導入されております。産業用無線LANは、RADIUSやLDAPなどの外部認証サーバーと連携し、情報の漏れを防ぐ仕組みが施されており、家庭用よりもセキュリティのレベルは高く設定されております。
導入に際してのコスト
産業用無線LANは、家庭用と比べると、高い耐久性や機能性を求められるので、価格も高額です。家庭用は最大でも1万円程度で導入できるのに対して、産業用は2~6万円ほどが相場となります。他にも産業用は管理費・点検費などで月額2~3千円のランニングコストが発生するため、産業用を導入する場合は、予算に関しては高めです。
企業が産業用無線LANではなく家庭用無線LANを利用する際の問題点
企業の無線LANの設備環境が良く、オフィスなどに設置する場合、導入コストも安いので、家庭用無線LANルーターを使用しているという企業も多くあります。しかし、あくまで家庭用は一般家庭の面積で想定しているので、オフィスなど広範囲に電波を届けることは難しく、また産業用と比べて情報セキュリティ面の機能が弱いため、ファイル共有機能を解除しておく、などの工夫が必要です。
産業用無線LANの最適な選び方
企業で無線LANを導入する際は、家庭用無線LANではなく産業用を選択するのが理想的です。産業用無線LANを選んでいくには、以下4つのポイントを押さえることが最適な商品を選ぶことへつながります。
電波の通信規格を確認
アンテナの配置場所を確認
同時に接続することが可能な台数
セキュリティのレベル
ここからは具体的に詳細を確認していきます。
電波の通信規格を確認する
無線LANにはいくつか規格があり、使用しているパソコンが対応しているか確認する必要があります。代表的な通信規格は以下になります。
無線LAN規格 通信速度(最大) 周波数帯IEEE802.11ad 6.7Gbps 60GHz帯IEEE802.11ac(Wi-Fi5) 6.9Gbps 5GHz帯IEEE 802.11ax(Wi-Fi6) 9.6Gbps 2.4GHz帯,5GHz帯
周波数帯には「60GHz帯」「5GHz帯」「2.4GHz帯」が主にあり、それぞれに適応する環境が異なります。60GHz帯は比較的狭い範囲、5GHz帯は電子レンジやBluetoothの電波干渉が少なく、2.4GHz帯は電波干渉しやすいのですが、広範囲に適しており、屋内、屋外ともに利用できます。
アンテナの配置場所を確認する
無線LANのアンテナの位置は2種類あり、一つめが「内蔵型」です。内蔵型は見た目がすっきりしてコンパクトな形で、全方向にバランスよく電波が広がりやすいのが特徴です。二つめが「外付け型」で、無線LANの表面にアンテナが突き出している形です。アンテナの向きに対して、直交するように電波が広がりやすくなっており、内部型より電波感度が良好です。
同時接続可能な台数を確認する
自社でネットワーク接続を使用する従業員人数と必要な接続デバイスの数を把握しておく必要があります。導入コストは少々高額になりますが、「ロードバランサ機能」を設けることで、負荷が集中したときに、アクセス集中を防ぎ、サーバーダウンを抑制することで、通信が安定します。
セキュリティレベルを確認する
企業の無線LANには、以下3点のセキュリティ機能が求められます。
● プライバシーセパレータ機能
主に無線LANに接続している端末同士のアクセスをブロックする機能で、来客者や、他社間でのアクセスを禁止するために使われます。
● MACアドレスフィルタリング機能
アクセスポイントの端末の利用を制限する機能で、無線LANのただ乗りを防ぎます。
● 認証機能
無線LANの認証機能として、サーバー上でユーザー情報を一括で管理する機能をもつ「EAP」と、認証する際、文字列を手動で管理する機能の「PSK」がありますが、企業では「EAP」を利用される場合が多いです。
まとめ
企業で無線LANを使用する場合、設置する環境によっては、産業用ではなく、家庭用でも利用することが可能です。産業用&家庭用を導入するうえでのメリット・デメリットがありますので、利用環境に合わせて適切な無線LANルーターを選ぶことをおすすめします。